17世紀初頭、新天地をを求めてイギリスから人々が北アメリカのヴァージニア付近に辿り着く。そこには先住民のコミュニティが存在し、彼らと折り合いをつけながら、ここに新たな町を建設しようとしている。ニューポート船長(C・プラマー)は、反乱罪に問われていたスミス大尉(C・ファレル)を解放。彼の勇敢さと頭のよさを買って、先住民との交渉役を任せる。他の探検隊とともに拠点を発ったスミスは皆とはぐれ、一人先住民に捕えられてしまう。先住民の王の前に連れ出されたスミスは、殺されそうになる寸前に、王の末娘ポカホンタス(Q・キルシャー)に助けられる。やがて2人は、言葉や文化の壁を超えて深く愛し合うようになるのだったが…。 『天国の日々』『シン・レッド・ライン』の巨匠テレンス・マリック監督がチェ・ゲバラの伝記映画を蹴って作り上げた作品。撮影は『アリ』『スリーピー・ホロウ』のエマニュエル・ルベツキ。実質的な主人公ポカホンタスを演じるクオリアンカ・キルシャーは魅力的で、皆に愛される娘として輝く存在感を演じ切っていたし、コリン・ファレルは夢のような恋と自らの立場に揺れる男を、クリスチャン・ベールは大樹のような心の広いやさしい男を見事に演じていました。ストーリーに起伏が少なく、多少の波乱をも音楽や編集で劇的に盛り上げることなく進んでいくため、もしかしたら退屈に思う人もいるかもしれません。私は時折入るポエムのような心の声に多少混乱しましたが、自然の映像と自然の音を感じられる美しい物語だと思いました。そして現代文明の前にこれほどすばらしい素朴な風景があったんだということを映像と音で示してくれます。自然と一体となって暮らすことに憧れを抱くほど、この作品はいい影響を私に与えたと思います。この作品を観た夜は、感性が研ぎ澄まされ、月が明るくあたりを照らし、雲が速く流れ、秋の虫が鳴くのを改めて感じ入ることができました。すーっと浸透していく感じ。 (update:07/9/06)
正直言って、観る前はアメリカ開拓時代のヨーロッパ人と先住民の攻防を描くアドベンチャー作品だと思っていました。観ている途中から、あ、違うんだな、と。もちろんその要素は大いにあるのですが、基本はラブストーリーではないかと思います。自然を感じ、自然とともに生きてきた先住民の少女ポカホンタスと、俗世にもまれてきたイギリス人の冒険家スミスの許されない恋。この二人が背景に持つ文化の違いが二人の恋を邪魔するわけですが、彼は去ってしまう。スミスには野心があり、また彼はポカホンタスとの恋を「夢」と言い、何度も彼女と逃げたいと思っていたものの、所詮「夢」なのだとあきらめてしまった。彼が死んだと偽りの知らせを受け、抜け殻となった彼女は別のイギリス人ロルフに出会います。彼は、ちょっと危険な雰囲気すら漂うスミスとは全く違ったタイプで、優しさが体からにじみ出ている男。ポカホンタスの立場は砦の中で変化していたので、二人の結婚は祝福されます。子宝にも恵まれ、幸せな二人ですが、ポカホンタスはどこかでまだスミスのことが忘れられず、ロルフを心から愛することができない。やがてスミスが実は生きていることがわかり、ポカホンタスの心が騒ぎ出します。彼女はスミスの元に帰っていくのか?!こんなにステキでやさしいダンナがいるのに!と少々俗っぽくやきもきしてしまいました。が、ポカホンタスが自分を心から愛していないと感じていたロルフは、彼女とスミスが会えるよう手回しをします。彼らが会っている間、祈るように待っていたロルフを見てせつなくなりました。そして会っている二人。スミスはポカホンタスが今やイギリスで高貴な夫人のようにもてなされていることに恨み言を言ったりして、アメリカの森で二人の間にあった「魔法」は消えているように見えました。そしてポカホンタスはロルフの元に帰ります。このときポカホンタスはロルフを心から愛しているように見えました。なんてスイートなの!この後すぐポカホンタスは病に倒れ、亡くなりますが、残されたロルフと幼い息子の船出するシルエットが生き生きして見えました。これだけ書くととっても俗っぽい恋物語のようですが、この作品とただのラブストーリーの違いは、物語の間じゅう感じられた自然の風景と音が物語に透明感を与えてくれているところ。既存のカットつなぎの法則に捉われない、叙情的な編集のおかげで、感情を芯から揺さぶられました。(daizy) (update:07/9/06)
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